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がん治療の道案内|手術・抗がん剤・放射線治療の選択肢を知ろう

2024.01.20
最新更新日 2024.04.02

日本人の二人に一人ががんで亡くなる時代、がんとの闘いは身近なものとなりつつあります。
一方で、その治療法についての理解はまだまだ不十分なことが多いです。手術、抗がん剤療法、そして放射線治療は、がんに対する主要な治療法です。しかし、それぞれには異なる効果や影響があり、適切な選択をするためには情報が必要です。

このコラムでは、それぞれの治療法の基礎知識から始め、患者が治療方法を選択する際に考慮すべきポイントを探ります。がん治療の複雑さと個々の違いを理解し、より適切な治療法を見つける手助けとなる情報を提供します。

がん治療の基礎知識

手術、抗がん剤、放射線治療とは?

がん治療にはいくつかの主要な方法があります。これには手術、抗がん剤療法、そして放射線治療が含まれます。それぞれ異なるアプローチを取り、がん細胞を除去または制御するために使用されます。これらの治療法は個々の状況やがんのタイプに応じて選択されることが一般的です。

手術
手術は一般的にがんを切除するために行われます。これは腫瘍が局所的で、手術によって除去可能な場合に有効です。手術は他の治療法と併用されることもあります。
抗がん剤療法
抗がん剤療法は、がん細胞の成長を遅らせたり、縮小させたりするために薬剤を投与する治療法です。これらの薬は通常、静脈内投与や経口摂取によって行われ、全身のがん細胞を標的とします。
放射線治療
放射線治療は、高エネルギーの放射線を使用してがん細胞を破壊する治療法です。がん細胞を集中的に照射することで、それらの成長を阻止し、縮小させることができます。

これらの治療法は、それぞれ特定の利点とリスクを持っています。
がんのステージやタイプ、患者の健康状態などが考慮され、医師と患者が共同で最適な治療計画を立てることが重要です。

手術:がんを克服する道

手術は、がん治療の重要な要素の一つです。一般的に、手術はがん組織を除去するために行われます。この方法の利点は、がんを一気に取り除くことが可能である点です。特に、腫瘍が限定されている場合や周辺組織に広がっていない場合に有効です。

手術の利点は明白ですが、欠点も考慮すべきです。
手術にはリスクが伴います。麻酔薬によるリスクや術後の回復の問題、合併症のリスクなどです。そして臓器を摘出するわけですから、その臓器の機能が失われます。胃を切除すれば食事を貯蔵して消化する機能が失われますし、直腸を肛門のすぐ近くまで切除すれば人工肛門を増設する必要があります。

さらに、手術には副作用の可能性も考慮が必要です。
手術後の痛みや不快感、傷跡、そして時には感染症のリスクがあります。また、手術ができない状況や、患者の全身状態が手術に適していない場合もあります。これらのリスクや副作用は個々の状況によって異なりますが、患者はこれらを理解し、医師とよく相談することが重要です。

最終的に、手術を選択する際には、患者が考慮すべき点があります。とくに、術後の生活に及ぼす影響については十分に考慮が必要です。また、手術をすればがんが体からなくなったように思えますが、一定の割合で再発することも知っておかなくてはなりません。医師との十分な相談を通じて、手術を含む治療計画を慎重に検討することが重要です。

抗がん剤療法:治療の進歩と多様性

抗がん剤療法には、その進化により古典的な「殺細胞性抗がん剤」に加えて、「分子標的薬」や「免疫療法剤」など、多様な選択肢があります。この進歩により、がんの特定の遺伝子変異や細胞機能によりターゲットを絞った治療法が可能となりました。ひとりひとりの効果を予測できるようになってきたということです。

分子標的薬は、がん細胞に特異的に作用し、周囲の健康な細胞に影響を与えるリスクを低減する優れた効果を持っています。また、免疫療法は、免疫系を活性化させ、がん細胞を攻撃する免疫応答を引き起こすことで、治療効果をもたらすものです。

これらの新たな治療法は、従来の抗がん剤療法と比較して副作用が軽くなることがあります。しかし、個々の患者のがんのタイプやステージ、身体状況に応じて、最適な治療法を選択することが必要です。また、これらの治療法にはまだ課題も残されており、研究や臨床試験が進行中です。

がん治療の進歩により、抗がん剤療法は多様性を増し、患者にとって個別化された治療法の選択肢を提供するようになりました。しかし、それぞれの治療法には利点や制約があります。また、血液のがんといわれる白血病などを除くいわゆる「固形がん」では、いまだに抗がん剤単独で完治を望めるがんはないことも事実です。医師との十分なコミュニケーションと情報収集を通じて、複数の治療法による最善の組み合わせを選択するための積極的なアプローチが求められます。

放射線治療:がん細胞を撃退する光の力

放射線治療は、がん細胞を破壊するために高エネルギーの放射線を使用する治療法です。通常は単独で完治をもたらすことは難しいとされていますが、一部の早期の固形がんに対しては放射線治療が単独で主要な治療法として用いられます。

放射線治療の利点は、がんの局所的な制御が可能であることです。また、手術ができない場合や手術後の予防的な処置としても利用されることがあります。放射線はがん細胞を標的とするため、周辺の健康な組織に与える影響を最小限に抑えることができます。

しかしながら、放射線治療にも副作用やリスクが存在します。全身的な副作用はほとんどないものの、治療部位周辺の組織への影響が、照射期間中のみならず、終了後時期を置いてから出現する可能性もあります。また、放射線治療は一般的に複数回の照射が必要です。これは、副作用を軽減させるための処置なのですが、治療期間が長くなるためその負担も考慮される必要があります。

放射線治療は、腫瘍が限局している場合の根治照射のほか、症状を和らげることを目的とした緩和的照射にも用いられます。最適な治療結果を得るために、がんの種類やステージ、患者の状態に応じて個別化された治療計画が必要です。

治療選択の際の考慮事項

がん患者さまへのアドバイス

がん治療を選択する際には、患者が自身の状況や治療法に関する情報を理解することが重要です。最適な治療を選択するために、以下のポイントを考慮することが役立つでしょう。

がんの種類とステージ
がんの種類や進行度合いによって、最適な治療法が異なります。医師との相談を通じて、がんの特性に合った治療法を選択しましょう。
治療法の利点と制約
各治療法には利点と制約があります。副作用やリスク、治療期間、回復時間などを考慮し、治療法の選択を慎重に行いましょう。
個々の健康状態
患者の全身的な健康状態や既存の健康問題も治療選択に影響を与えます。治療に耐えられる体力や健康状態を考慮しましょう。
予後と生活への影響
治療法の選択は将来の予後や日常生活にも影響を与えます。治療期間中の生活の変化や支援が必要かどうかを考えましょう。
治療目標と希望
どのような治療結果を期待し、自身の希望や価値観に基づいて治療目標を設定しましょう。医師とのコミュニケーションを通じて、治療計画を合理的かつ実現可能なものにしましょう。

がん治療は複雑で個別化されたプロセスです。患者自身が情報を収集し、医師との協力を通じて最善の治療選択を行うことが大切です。また、家族やサポートシステムとのコミュニケーションも重要です。治療選択において、自身のニーズや優先事項を理解し、より良い治療結果を追求しましょう。

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  • 高橋 正嗣
  • 彩都友紘会病院 医局長、放射線科部長

専門分野:放射線治療、高精度放射線治療全般
専門医資格:放射線科専門医、日本放射線腫瘍学会認定医、日本医学放射線学会研修指導者

〒567-0085 大阪府茨木市彩都あさぎ7丁目2番18号

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